ササキバラ ゴウ
「何か」の為に戦うことによってしか生きれない男性。
その「何か」は戦前では「国家」であったり
あしたのジョーでは「あした・輝かしい未来」であった。
しかし、そのどれもが崩れて根拠を失っていって、
70年代よりその「何か」に「女性」が
滑り込んでくる。しかし、デビルマンでは最終的に
美樹が狂った人間に虐殺されることによって
その戦う理由の「何か」を喪失してしまった後の
悲劇が描かれる。
女性の為に生きようとしても、女性が社会進出し
自立していく中、戦うこと・働くことに根拠を
見出せなくなった男が何と多いことか。
そして、「自分のため」に生きる猛き女性の
何と多いことか。
戦う根拠を失った男たちは、次第に戦いの場から
フェードアウトしていく。セーラームーンに始まり、
最近では舞HIMEなどがその典型で、戦うのは少女。
男は脇役である。
また、大切な「何か」を守るためならば
他のすべてを犠牲にしてもいいという
残虐性も暴いている。
男の弱さ、情けなさをこれでもかと見せ付けられる
ような分析が多くて身につまされる本だった。