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酒見 賢一『周公旦』感想。孔子が夢見た聖君子

投稿日:2006-12-02 更新日:

周公旦

周公旦

酒見 賢一

この前は、商王朝建国の功臣、伊尹を題材にした小説を取り上げたが

今回取り上げるのは、商王朝を滅ぼし周を建てた功臣・周公の小説。

酒見健一は『陋巷にあり』で孔子一門をサイキックに描いているが

この『周公旦』は『墨攻』のようにリアリスティックに描き

硬派な歴史小説になっている。とはいえ、当時は

商後期の青銅器が示すとおり、醜怪な神が人々の行動を支配していた

残照が色濃く残っていた。

リアルに当時の人々の心情を描けば描くほどに、ファンタジーの領域に

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達する。その狭間で、歴史的人物としての周公の輪郭を

よくあらわしていると思った。

周公とは、孔子が夢に見るほど私淑する聖君子でありながら、

その人物像は孔子もあまり語らないし、

あまり知られていないのではないか。

建国の王、武王が早逝し乱世に戻りかけた周王朝を建て直し

その後の中国の支柱となった儒教の根本をどううちたてたか、

酒見健一はそこにせまる。

呪術を昇華し、「礼」として蒙を啓く力とする。

巫祝(シャーマン)として、政治家として、周公の人物を初めて

把握できた気がする。

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