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読書ノート

福岡 伸一『生物と無生物の間』感想。生命のしぶとさを知る

投稿日:2007-11-16 更新日:

僕は高校の頃は生物学者になりたくて、生物の授業は楽しくて楽しくて

ものすごい勉強した。生物だけは学年一位を死守していた。

(僕のつまらない人生のなかで唯一と言っていいほど

 輝いていた。しかし、数学は全部赤点。。)

数学が出来ないと、どこの大学も入らせてくれなかったので挫折。

人生一番の挫折かもしれない。

そもそも生物を極めたかったのは、自分という生物が

なぜ・どのようにして生きているのか?

そもそも生命とは何か?という疑問だったので、

「生物」を「哲学」に持ち替えても、あまり違和感なかった。

という僕の身の上話はどうでもいいのですが、

この本の内容は哲学かなり哲学的だと思う。

生命の不可思議さを冗長ながらも、

文系の人に理解できるように、興味を持続できるように書いてある。

「生命が要素の集合体でなく、要素の流れがもたらす効果」である

というテーゼは、少しで仏教の思想を知ってる人なら

そんなのあたりまえだ、と言うだろう。

仏教では「自分の中で変わらない実体など存在しない」と、

創始者が言っている。

だが、びっくりしたはその「流れ」の速さ。この本によると

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3日間で食べた食物の構成物のうち7割が身体のあらゆるところに

遍く拡散されて存在するという。(3割は排泄)

生命の動的平衡は知っていたが、こんなに速いとは驚異である。

また、生命のしぶとさを示す作者の実験の成果がエキサイティング

だった。膵臓の消化酵素を司る遺伝子機能を

完全にノックアウト(機能停止)させたマウスが、

なぜか寿命を全うする。

機械で言えば、重要パーツを抜いた不完全機械である。

ぜったい動かない。

しかし、生命は問題なく継続している。

生物は重要なパーツを抜いても、どうにかして迂回路を

つくるかバックアップを起動して生命を維持しているらしい。

僕はここで感動して、生物に対する崇敬を新たにした。

ぼくもまだ病気療養中で、生きるための基本的機能が

そうとう壊れているように思うが、どうにか迂回路をつくって

生きていかねばならない。細胞一つ一つにそういうプログラムが

入っているんだから、できないことではない。

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