漢詩はきちんと読解して鑑賞しようとすると
典拠とかの知識がないととても難しいので
一番おいしいところをサクッと味わってしまおうという企画です。
北宋・憂国の大詩人、陸游≪りくゆう≫(1125-1210)。
七言律詩「春愁」の首聯より
『春愁茫茫塞天地 我行未到愁先至』
(書き下し文)春の愁いは茫茫として天地を塞ぎ
我が行、未だ到らざるに愁い先ず至る
(日本語訳)春の憂愁は果てしなく広がり 天地を塞いでいる。
私の人生の行く末はまだ何も分からないというのに
憂愁は先にやってくる。
陸游らしい壮大な詩です。春の愁いという個人的な感情が
天地を覆うほど大きく表現されています。
また、果てしない天地と一人の人間の対比によって
悠久の自然と有限で一寸先の未来も分からない
人間のはかなさも表しています。(漢詩の常套表現)

- 作者: 一海知義
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/12/14
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参考までに
(現代中国ピンイン)
chun1 chou2 mang2 mang2 sai4 tian1 di4
wo3 xing2 wei4 dao4 chou2 xian1 zhi4
一見憂鬱な詩ですが、中国語で読むとかなり軽やかな感じになります。