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読書ノート

スタンダール『赤と黒』感想。恋愛に振り回される人々を冷徹に描く

投稿日:2008-12-31 更新日:

けい。さんのエントリを見て読み始め、
今年中に読み終わりたいと思っていたが、間に合った。

上巻の感想はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/kotobuku/20081218/1229606479

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下巻では、更にとっても怖いマチルダという女性が登場する。
こういう自尊心が強すぎて、男を手玉にとるようなのからは
全速力で逃げないと、大変なことになる。
われらが主人公・ジュリヤンの悲劇は、マチルダのキルゾーン
不用意に立ち入ったときから決定されてしまったのだ。

 

フランス小説は恋愛小説ばかりで好かない、と思っていたが
スタンダールの小説は、燃えるような恋愛を描きながらも
どこかで恋愛を忌み嫌っているような、恋愛に振り回される人間を
滑稽に描いているような、そんな冷徹な眼差しを感じて面白かった。

 

そういえば、フランス小説が原作の映画『素粒子』も
恋愛を描いているのかと思いきや、恋愛を冷酷な形で否定している作品だった。

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なぜかドイツで映画化されているが、、

 

『赤と黒』は歴史小説としても面白い。ナポレオン後の王政復古から
七月革命への不穏な空気がよく分かるし、フランスのジャンセニスム
イエズス会の対立など、宗教史的にも興味深かった。

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それにしても、『罪と罰』のラスコーリニコフもそうだが、
ナポレオンが19世紀の少年達にどんなにすさまじい影響を
与えたかは、今の時代からは想像が付かないほどだ。
フランスの歴史は高校の世界史程度しかないので、
いろいろ勉強したくなった。

 

この光文社文庫版の『赤と黒』は誤訳が多いらしく
問題になっている。くわしくは

 

nofrillsさんのエントリ

「新訳」と「誤訳の指摘」と「出版」と
http://d.hatena.ne.jp/nofrills/20080609/p1

や、

赤と黒 誤訳の真相
http://www.englishselftaught.com/akatokuro.htm

に分かりやすくまとめられている。

 

コレを見ると、さすがに酷いなと思えるものの
岩波文庫とかに収められているのは読みにくいので
光文社の試みは応援していきたい。

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