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「中国史観」の新教科書に台湾の高校生たちが反発。教育部へ乗り込むが即座に拘束され、麻薬密売犯と同じ拘置所に入れられる

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来学期(今年9月)から台湾の高校生が使う教科書が「中国史観」のものとなる

 台湾の教科書は国民党時代は「台湾」のことはほとんど載っておらず、中国に関する歴史ばかりが載せられていました。しかし民進党時代の1997年に『認識台湾』という「台湾」の歴史を大幅に載せ、日本統治時代の一部についての肯定的評価を盛り込んだ新教科書が使われるようになりました(中高一貫教育化のため今は別の教科書のようです)。

 しかし、国民党の馬英九総統は「中国」との繋がりを強調する内容を増やした新しい教科書今年の9月から採用することを決定しました。

日本統治時代評価が否定的となり、従軍慰安婦も「強制」と表記し、反日的傾向に

 中国とのつながりを強調する内容を増やすのみならず、日本による「統治」の表記を「植民統治」に変えるとのこと。さらに旧日本軍の従軍慰安婦問題について「(慰安婦になることを)強制された」との言葉を補って、中国と歩調を合わせようとする意図が見られます。

 来年馬英九総統は任期を迎え、総統ではなくなります。中国との経済一体化、台湾の軍役の順次廃止に続き、中国よりの教科書に書き換えることにより、馬英九の目的は達成されるのかもしれません。

国民党による「洗脳」だとして、高校生たちが立ち上がり、教育部を占拠

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 教科書の変更があまりにも中国の意向に沿ったものであるとして、台湾の高校生たちが反対運動を初めました。この運動は何ヶ月も続いていましたが、昨日未明、学生の一部が台湾教育部にはしごを使って侵入し、バリケードを作り立てこもろうとしました。昨年大学生たちが立法院を占拠して成功した「太陽花学運(ひまわり学生運動)」にならおうとしたのでしょう。

しかし、台湾警察は迅速にバリケードを破り、学生たちを拘束、拘置所に収監

 昨年の「太陽花学運(ひまわり学生運動)」で後手に回って歯がゆい思いをした警察側は、すぐにバリケードを破り、有無を言わさず高校生を拘束し縛り上げました。不法侵入なので、拘束されてもしかたがないとはいえ、年端のいかない高校生が制圧される姿はかわいそうでした。

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【動画】反黑箱課綱!學生夜襲教育部 衝進部長室│三立新聞台

 『リンゴ日報』によると、拘置所に入れられた高校生は麻薬密売犯と同じ部屋に収監され、大声で泣いていたそうです。両親が来て保釈となりましたが、保釈金は麻薬密売犯の二倍だったとか。

「和毒犯關在一起」 反課綱學生哭了『蘋果日報』
http://www.appledaily.com.tw/realtimenews/article/new/20150725/654984/

今後、どうなるのか

 昨年の「太陽花学運(ひまわり学生運動)」は中国との不平等な貿易条約に反対する運動で、台湾経済に大きな影響を与えるものでした。そのため一般の台湾人の関心も高く、多くの市民が学生を援助し、成功しました。

 しかし、今回の教科書問題に対する学生運動はそこまで一般の台湾人の関心を集めていないように見受けられます。ただ、関心がないというよりも国民党の馬英九総統が辞めた後、民進党の蔡英文が総統になる可能性が高いため、教科書も再度「台湾重視」に見直されるのではないかと楽観視しているのかもしれません。

 いずれにせよ、学生はテストもあるし、どんな教科書でも否応なく勉強して覚えなければなりません。教科書の内容が政治的な理由によって頻繁に書き換えられて困るのは学生です。

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