台湾東部・花蓮県内で鳥インフルエンザが確認されたため、今日から一週間、ニワトリ・アヒル・ガチョウ等の家禽類の移動と屠殺が禁止されました。業者は突然の発表に驚き、16日は朝から大量の家禽が屠殺場に運び込まれました。
台湾で現在猛威を奮っているのはH5N6型
今台湾で流行しているのは鳥に対して毒性が強いけれど、今のところ人に感染しにくい高病原性鳥インフルエンザウイルス「H5N6型」です。日本でも韓国でも中国でも確認されているものと遺伝子の型は同じもののようです。
台湾政府の防疫検疫局も人間への感染可能性は低いということで、過剰に怖がることはないと言っています。
中国で流行、台湾でも感染例有りのH7N9型
今世界で流行中のインフルエンザは上記のH5N6型だけではなく、H7N9型というのもあります。
こちらのH7N9型はH5N6型とは逆で、鳥に対しては毒性は弱いけれど、鳥から人へ極めて感染しやすい遺伝子の型だそうです。となると、人間にとってやっかいなのはこちらです。
現在、中国で猛威をふるっていますが、台湾にも入ってきています。台湾は前国民党政権の時に中国との経済交流を拡大し、中国で働く台湾人が増えました。出張で中国大陸を訪れる台湾人もかなり増えました。そうした台湾人の69歳の男性が広東省から台湾に帰国した後に発熱、検査の結果、H7N9型の鳥インフルエンザに感染していることが確認されました。
この男性から他の人に感染している例はまだ確認されていないようなので、人から人への感染力はまだ少ないのかもしれません。しかし、この男性は現在意識不明の重体となっています。毒性が弱いとされているH7N9型ですが、高齢者や子供にとってはやはり脅威です。
台湾政府、家禽類の屠殺と移動を禁じる緊急措置
台湾政府は鳥インフルエンザ感染拡大を防ぐため、今日から一週間、ニワトリやアヒル、ガチョウ、七面鳥を含むすべての家禽類の移動と屠殺を禁止しました。
一時を争う事態とはいえ、あまりに突然の発令に業者や関係者は対応に苦慮しています。
大量に屠殺場に運び込まれる家禽類
台湾政府の発令を受けて、養鶏業者などは朝から急いでニワトリを屠殺業者へ運び込みました。出荷できるものははやく出荷してしまわないと飼料代や電気代がかさむからでしょう。
農委會發禁宰運令 屠宰市場禽肉量增-民視新聞
豚などの屠殺はアニメ『銀の匙』で見て、どういうものなのかは知っていましたが、鳥の屠殺場は始めてみました。工場に運び込まれ、ベルトコンベア式に処理される姿はかなり衝撃的でした。
鶏肉や卵、高騰必至
台湾政府の措置を受けて、鶏肉が市場に出回らなくなり、価格が高騰することは必至です。台湾政府は鶏肉じゃなくて、豚肉を食べるようにとか言っていますが、消費者はそれでいいとしても鶏肉を主体としているレストランはそういうわけにもいかないでしょう。
台湾にはチキンフライの店が星の数ほどありますし、アヒル肉を主体とした店もたくさんあります。北京ダックの店だって数多くあります。卵を使っているところも影響を受けると思います。
そういう店は一時的に店を閉めるか、価格を上げるしか無いと思います。
防堵禽流感疫情 全國家禽禁宰運7天-民視新聞
台湾ではこうした事態が起こるたびに価格が高騰していきますが、騒動が収まっても価格がもとに戻らず、インフレになる傾向があります。去年野菜が高騰した時も、価格がもとに戻るまでかなりの時間がかかりました。
給料は上がらないのに物価がまた上がってしまうので、さらに暮らしにくくなりそうです。