台湾の国家発展委員会の意見公募サイト「公共政策網路参与平台」に「台湾の標準時を現行のグリニッジ標準時から8時間進めた時刻(GMT+8)から、日本や韓国と同様に9時間進めた時刻(GMT+9)に変更する提案」が寄せられたとのこと。
もしこの提案が受け入れられれば日本と台湾の時差がゼロになります。
台湾標準時変更の意見、正式に立案される
台湾では寄せられた提案に5,000件以上の意見が寄せられた場合、所管機関が正式に審議に入ります。
標準時の変更に対する意見は5,000件を超えたため、審議に入り、2ヶ月以内に解答が出されるとのこと。
どういう決定がくだされるか楽しみです。
台湾標準時変更の利点
この提案を出した台湾人の主張する利点は
- 台湾ではかつてGMT+9(日本と同じ標準時)が使われていた
- 標準時変更で中国大陸への従属から脱却するシンボルとなる
- 台湾に来る中国や外国の観光客に台湾と中国は異なる国なのだと訴えられる
- 冬は今ほど暗くない時間に退勤できる。
- 夏は十分に日光を活用できる。
というのが挙げられています。
中国に対抗するためというのが昨今の台湾らしいです。
日本人はとっても便利になる
もし台湾の標準時が変わって、日本と同じになれば、日本人にとってはとても便利です。
たった1時間とはいえ、時差がなくなれば旅行の時も面倒臭さが激減しますし、台湾に住む人もいちいち日本時間を気にしなくてもよくなります。
私は8年台湾にいて、最近帰国したばかりなので、時差計算が習慣となってしまって、日本に帰ってきたのに時々時差の計算をしてしまって、「ここは日本じゃないか」と自分にツッコミを入れてしまう毎日です。
「台湾標準時変更」に対する台湾人の意見
現在、サイトに寄せられている意見は標準時変更に賛成のものが多いようです。中国は台湾への圧力を日々強めていますが、やはりそれに少しでも対抗したいという意識があるのでしょう。
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予想される反対意見
ただ、台湾の標準時を変えるとなると、いろいろな反対意見が出てきそうです。
まず、台湾は経済的には中国とのつながりをどんどん深めています。馬英九総統のときに、台湾と中国の多くの都市は直行便で結ばれました。台湾の企業の多くは中国に子会社を作り、工場も作っています。
今は中国と台湾は同じ標準時を使っていますが、変えるとなると、中国と台湾のそれぞれの会社で齟齬が生まれてしまいます。
しかし、これは日本と台湾の企業、日本と中国の企業が時差があってもうまく仕事をしていることを考えるとあまり問題ではないでしょう。
問題は標準時を日本統治時代と同じものにすることによって「植民地統治時代にもどるつもりか」という批判が出てくるに違いないということです。
最近蔡英文総統と民進党に寄せられている「媚日(日本に媚びている)」という批判が更に強くなること考えられます。
個人的な考え
まぁ私個人の意見としては、標準時は変更しないんじゃないか、しなくても良いんじゃないかと思います。台湾は沖縄からとても近いとはいえ、台湾の領土の西端である金門島は中国に接するほど近く、中国の携帯電話の電波も拾ってしまうほどですし。
日本統治時代が云々といって、また台湾人同士がいがみあうのもあまり見たくはないです。
それよりも改めて驚いたのは、中国があんなに広いのにアメリカのように時刻をわけることなく同一の標準時を使っていることです。
中国では古来、皇帝という絶対権力者が暦も時間を決めてきました。今の共産党国家主席も皇帝のようなもので、時間を決めることができるのが権力の象徴なのでしょう。