残業に追われ、上司に追い詰められていたある日、まったく頭が働かなくなりました。
直前のことが覚えられなくなり、仕事の段取りもできなくなり、何をしたらよいか途方に暮れるようになりました。当然仕事上のミスも多くなり、毎日怒鳴られつづけました。
うつ病のサイン『仮性認知症』
このように注意が散漫になり、集中力が低下し、決断力が低下して、簡単なことでもあれこれ考えて何も決められなくなる症状は鬱の初期症状です。
このような症状は「仮性認知症」と名付けられた、れっきとした病気です。自責の念にかられる人も多いですが、落ち込むことはありません。
「仮性認知症(かせいにんちしょう)」は以前は偽痴呆(ぎちほう)、仮性痴呆(かせいちほう)と呼ばれていました。
実際の知能低下がなく、認知症ではないにもかかわらず、あたかも認知症であるかのような症状を示してしまうのです。
うつ病の初期症状である「仮性認知症」になる原因
どうして仮性痴呆になってしまうのでしょうか?
「仮性認知症」は治る
仮性認知症になってしまったら、もう治らないのか心配になるかもしれません。
治療で改善することができるから「仮性」という言葉が付いているということですね。
高齢者の場合
仮性ではなく、加齢による認知症は早い人では40代で始まってしまいます。
そのため40代、50代ぐらいの人が物忘れも酷いし、ボケてきたんじゃないかと心配して病院に行く人も多いですが、そういう人の大半は鬱病の初期症状です。認知症はやはり60代、70代から急増する病気です。
逆に、60代、70代の認知症が「うつ」と間違えられることもあります。
認知症の場合も、何となく元気がなくなり、意欲も落ち、記憶力が衰えていくことから、うつ病ではないかと思われるのです。
うつ病をきっかけに認知症になることも
高齢者の場合にはうつ病をまず発症し、それをきっかけとして何もすることができなくなり、認知症となってしまうこともあります。
このようにしてうつ病と認知症を両方抱えてしまっているという場合もあるので、医師の慎重な判断をあおぐことが必要です。
若い人の場合
認知症は若い人でもなることがあり、若年認知症と呼ばれています。しかし、この若年認知症は64歳以下で認知症になる場合とのことです。
さすがに20代でなることはなかなか無いだろうと自分も思いましたし、自分の記憶力が極端に落ちているということをしっかりと自覚していました。
医者に症状を説明すると、すぐに「仮性認知症(当時は「仮性痴呆」)と呼ばれていました」と判断されました。
このようにかなり若い人でも「仮性認知症」になる場合があります。若くても仕事が急にできなくなったり、学校の成績が落ちたりするようになったら「うつ病のサインである仮性認知症」ではないかと疑ってみてください。